第16回 介護タクシー車内の会話

先日、文京区・千駄木の病院から荒川区の病院へ車いすの方を搬送した際のこと。病院を出発する際、付き添いの男性ご家族から「文京区・白山はこの近くですか?」と聞かれました。白山はすぐ近くですとお答えしたところ、「白山は、私の出た大学があるところなんです。私は工学部で白山に通ったわけではないんですが」と、懐かしそうに語られました。

白山にある大学といえば、私の長女の母校でもあり、長女も白山ではない別のキャンパスに通っていました。そのことを伝えると、「そうですか。娘さんはスポーツをされていたんですか?」などと男性は嬉しそうに聞いてきます。その後、スポーツ強豪校だけど最近少し元気がありませんねなどと会話が続き、親近感が増したように感じました。車内では私から必要以上の話はしないようにしているのですが、お客さんから切り出されてこんな会話になることはたまにあります。

中須譲二
介護タクシードライバー
東京・文京区を拠点に車いすやストレッチャーでの患者等搬送を行う介護タクシードライバー。東京消防庁患者等搬送事業認定、介護職員初任者研修、運転2種免許。前職は出版社の編集。
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