第12回 福祉タクシー券の取り扱い

介護タクシー料金の支払いに使える福祉タクシー券と呼ばれるものがあります。自治体が障害者福祉のために発行しているもので、券の呼称、交付や利用の条件、金額などは自治体により異なります。

介護タクシー事業者は、代金支払いをこの福祉タクシー券で受け取った場合、後日、その券を発行する自治体の規定に従い換金することができますが、そのためには事前に当該自治体から福祉タクシー券の対象事業者として認定される必要があります。そこで私も、この福祉タクシー券の取り扱いを始められるよう、いくつかの自治体に問い合わせました。

まず拠点である文京区に、福祉タクシー券の取り扱い事業者になりたいと伝えたところ、今年度分の事業者は既に確定済みで、取扱事業者になれるのは来年度以降になるとの回答でした。自治体の事業なので年度単位なのはもっともだなと納得し、令和7年度以降の取扱事業者になれるよう改めて申請することにしました。板橋区も同様です。

違ったのは豊島区と千代田区です。両区は、福祉タクシー券の換金をタクシーチケットの精算サービスなどを行う民間企業(愛のタクシーチケット・京都市)に委託しており、同社から福祉タクシー券取り扱い事業者として認定されればその時点で、福祉タクシー券の換金が可能になるのです。ということで、同社に連絡し手続きを行うことで、豊島区、千代田区の福祉タクシー券については年度が替わるのを待たずに取り扱えるようになりました。

新宿区は、区と直接契約をして福祉タクシー券の取り扱い事業者になれるパターンでしたが、年度替わりを待たずに期の途中でも取扱事業者になれるとの回答でした。ということで私は、新宿区との契約書を締結し、同区の福祉タクシー利用券についても取り扱えるようになりました。また、新宿区は、介護タクシーの予約料、迎車料、ストレッチャー利用料などに使える、車いす利用券、ストレッチャー利用券も発行しており、これらについてもあわせて取扱事業者として契約を締結することができました。

中須譲二
介護タクシードライバー
東京・文京区を拠点に車いすやストレッチャーでの患者等搬送を行う介護タクシードライバー。東京消防庁患者等搬送事業認定、介護職員初任者研修、運転2種免許。前職は出版社の編集。
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