第28回 車いすは要りません

介護タクシー車両は車いすのまま乗車できるようにつくられています。でもたまに、杖などで歩行が可能な方などが、車いすを使わず乗車するとおっしゃることがあります。つまり車いすではなく、車両のシートに座るということです。

もちろんそれがご希望であればそうしていただいていますが、「車いすを使っても使わなくてもいい」という方の場合、車いすでご乗車いただくようにしています。その理由は、車いすに座りスロープで乗車するほうが、車両のシートに乗り込むよりもスムーズで楽だからです。

車高が高いノアは、セダンタイプの車に比べシート高さが20センチほど高くなっており、健常者でも小柄な方などの場合、乗り込む際には足を高く上げ「よいしょ」と乗り込むことになります。降りる時も、シートに座った状態で地上に足が届かないなどし、慎重に降りないと勢いがついて転倒してしまう恐れがあります。

つまり車いすで乗車いただいたほうが安心ということです。また、車いすでご乗車いただくと、付き添いのご家族が横隣りに座る形になるのも安心です。車いすを使わずに乗車いただく場合、お一人は助手席、お付き添いの方は運転席後の席と分かれてしまうのですが、これは介護タクシー車両である以上どうにもできないことなのです。

中須譲二
介護タクシードライバー
東京・文京区を拠点に車いすやストレッチャーでの患者等搬送を行う介護タクシードライバー。東京消防庁患者等搬送事業認定、介護職員初任者研修、運転2種免許。前職は出版社の編集。
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