車いすのご利用者をご自宅から病院へ、あるいは老人ホームからご自宅へ、依頼を受けて搬送する。そんな介護タクシードライバーである私が、開業前に近所の有料老人ホームで介護の仕事を体験したことは前回書きました。さらに、その職場体験修了後、資格取得支援制度を利用して介護の資格(介護職員初任者研修)も取りました。通学して講義を受け、技術、心構え、制度を総合的に学べ、受けてよかったと思える内容でした。
ベッドから車いすへの移乗、車いすの操作などは、受講生同士で練習し、身につけることができ、講師陣も実際に介護の現場で経験を積んできたベテランぞろいで、効果的な体の使い方を指導してくれました。介護は力が必要と思われがちですが、ボディメカニクスという合理的な姿勢、体の使い方をすることで、効果的に相手を動かせます。
具体的には、両脚を広く開き体の支持基底面を広く安定させる、膝関節を曲げて重心を広くする、自分の重心を相手の重心に近づける、動き出す方向に足先を向ける、片方の脚からもう片方の脚に体重を移すようにして移動するといった具合です。
講師からは、「手だけでする介護はない」と何度も言われました。いまや介護は誰にとっても身近な問題で、私が実際に現場でお会いするお客様の中にも、自分より体の大きなご家族を抱えて車いすに座らせる方などもいらっしゃいます。体全体を使い相手の体を支えることで自分の腰を痛めるリスクも減らせる、ボディメカニクスは知っていて損しない技術だと思います。
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